特例有限会社

特例有限会社は、会社法の改正により株式会社として存続しています。

特例有限会社とは

  • ① 商号中に「有限会社」の文字を用いなければならない(整備法3)。
  • ② 会社法施行時にあるものとみなされた「発行するすべての株式の譲渡制限に関する定め及び株主間の譲渡については株式会社が承認したものとみなす旨の定め」について、異なる定めを設ける定款変更をすることができない(整備法9)。
  • ③ 株主による株主総会の招集の請求、裁判所に対する業務執行に関する検査役の選任の申立て、会計帳簿の閲覧等の請求または訴えをもってする役員の解任の請求のために必要となる議決権数の割合が10分の1(通常の株式会社は、原則として100分の3。ただし、それ以下の割合を定款で定めることができる。)に引き上げられています。(整備法14Ⅰ、23、26Ⅰ)
  • ④ 株主総会の特別決議のための決議要件は、「総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上)であって、当該株主の議決権の4分の3」とされている(通常の株式会社の場合は、議決権を有する株主の議決権の過半数(3分の1まで定款で減少することが可能)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2)(整備法14Ⅲ)。
  • ⑤ 会社の機関としては、取締役、監査役及び清算人しか置くことができず(整備法17)、監査役を設置する場合の監査範囲は、会計監査に限られる(整備法25)。また、取締役及び監査役の任期に関する会社法の規定は適用されず(任期の定めがない)、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するために監査役の同意を得る必要もない(整備法18)。
  • ⑥ 支配人の選任・解任、支店の設置等に関する決定を取締役に委任することができ(取締役の過半数の一致によらなくえてもよい)、大会社に相当する場合でも、取締役が内部統制システムに関する事項の決定をしなくてよい。また、取締役が株式会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見しても、直ちに株主等に報告する義務がない(整備法21)。
  • ⑦ 計算書類の公告、開示に関する規定、休眠会社のみなし解散に関する規定、特別清算に関する規定は、適用されない(整備法28、32、35)。
  • ⑧ 吸収合併存続会社または吸収分割承継会社となることができず、株式交換及び株式移転はすることができない(整備法38)。

登記事項に関する特例

  • ① 取締役、監査役及び清算人については氏名のほか住所をも登記し、代表取締役については、住所を登記しない。
  • ② 代表取締役又は代表清算人は、会社を代表しない取締役または清算人がある場合にのみ登記されることになるので、取締役又は清算人が1人のときには、代表取締役の登記はできない。
  • 監査役を置く場合であっても、「監査役設置会社である旨」の登記をする必要はない。

通常の株式会社への移行

  • 特例有限会社は、定款を変更して、その商号中の「有限会社」の文字を廃止して、「株式会社」の文字を用いるよう商号を変更し、その登記をすることにより、通常の株式会社に移行することができます。
    この移行は、本店の所在地において2週間以内に、支店の所在地においては3週間以内に特例有限会社については解散の登記をし、商号変更後の株式会社については設立の登記をすることにより効力が生じます。