会社の解散・清算・継続

<会社の解散>
会社は一定の営業目的をもって営利を追求するために設立された集団的企業ですが、所期の目的を達成した場合はもちろんのこと、その目的が達せられない場合、すなわち、企業の経営状態が悪化した場合には、営業活動を中止し今まで営業中にあった取引関係を整理する必要があります。
このように会社が営業活動を中止して残務及び財産の整理をすることを「解散」といいます。

どんな場合に解散するかは法律で決められています。あらかじめ会社の存立期間等を定款に決めておけば、その時がくると会社は解散することになります。
通常は、これ以上会社を続けることは会社自体において何らの得策ではないという判断から、会社の構成員の多数の意思(例えば株式会社の場合には、株主総会の特別決議)によって解散することを決めるのが多く見られます。

このほか、会社が合併するときや破産した場合にも解散することになります。
また、会社が強制的に解散させられる場合もあります。
これは、会社が有益なものとしてその存在が認められるものなので、その役割を果たさない会社は解散させられても仕方なく、裁判所は法務大臣や、株主、債権者、その他の利害関係人の請求によって解散を命ずることができるとしているもので、それを「解散命令」・「解散判決」といいます。

さらに、休眠会社を解散したものとして整理できます。それは、一定の時期から遡って12年以上何らの登記もしない会社を解散したものとして整理することです。
* 休眠会社は、ある事項の登記をした後12年以上の間、役員変更あるいはその他の登記を1回もしたことのない会社について、法務大臣が公告により指定した期日(公告の日から2か月以内)までに、書面をもって本店所在地の登記所に「会社はまだ営業を廃止していない」ことを届け出るか、もしくは何らかの登記をしないと、その会社は、公告のあった日から2か月が経過しないと、その会社は、公告のあった日から2か月が経過した日に解散したものとみなされます。


<会社の解散の効果>

会社が解散すると、会社はその目的である営業活動ができなくなり、その会社としての法人格が消滅をきたすべき状態に陥ることになります。

会社が解散したときは、合併の場合を除き、会社は解散後もその財産の整理を行う範囲内で、法人格を有するものとされています。
したがって、会社の解散は営業能力を失ってもはや事業を継続することを得なくなり、清算の範囲内でのみ能力を有するもので、営業活動を前提とするような一切の行為も清算の目的に反するような行為も行うことができなくなります。
会社は解散によって、直ちに会社の法人格が消滅することはないので、解散前の会社の法律関係は原則として変更を受けません。
ただ、解散によって会社が営業能力を失うのですから、営業のための活動をする会社の機関、すなわち取締役、代表取締役、会計参与、会計監査人、執行役及び代表執行役といった監査役以外の機関はその存在を失います。


<解散した会社の機関(清算人)>
会社が解散すると営業活動をするための会社の機関である取締役、代表取締役等はその存在を失い、清算人がこれに代わって清算事務を処理することになります。
会社が解散した場合、定款に別段の定めがあるか、もしくは解散した際に清算人を選任しなかった場合は、その代表取締役が代表清算人となります(会483Ⅳ)。
清算人会を設置しない場合において、清算人を定めたときは、清算人が各自会社を代表するのが原則であり清算人の全員が代表清算人になりますが、定款、定款の定めに基づく清算人の互選または株主総会の決議によって代表清算人を定めたときはその定められた者のみが代表清算人になります(会483)。

清算人会設置会社は、清算人会において代表清算人を選定しなければなりません(会489Ⅲ本文)。ただし、裁判所により代表清算人が定められた場合等、他に代表清算人があるときは、その必要はありません(会489Ⅲ但し書き)。

しかし、通常は、解散の決議と同時に清算人を選任する例が多いようですが、この場合、清算人の員数については制限がありませんので、1人でも足りるということになります。

なお、清算人についても取締役と同様、法律上の欠格事由があると就任できません。また、清算人については任期がありません。
これら清算人が会社の残務整理を行うのですが、それらの清算事務が終わると、会社は完全に消滅したことになります。


<解散及び清算人の公示>
解散事由の発生した時から(合併及び破産の場合を除き)本店の所在地において2週間以内に解散及び清算人就任の登記を申請する必要があります(会926、928Ⅰ)。

登記すべき事項は、解散の事由及びその年月日、清算人の氏名並びに代表清算人の氏名及び住所、清算株式会社清算人設置会社であるときはその旨です。




<会社の継続(会社が再び営業活動をすること)>

(1)会社の継続
会社の継続とは、解散した会社を解散前の状態に復帰せしめることで、会社が再び営業活動をすることができるようになることです。

会社の継続は、企業維持の精神から一定の解散原因によって解散した場合で清算決了前であれば認められています。
すなわち、定款で定めた存続期間の満了、その他定款で定められた解散事由の発生、あるいは、株主総会の決議によって解散した場合のみ認められるもので、破産及び裁判所の解散命令・解散判決により解散した場合は認められません。なお、休眠会社の整理(会472)により、みなし解散会社となった会社については、解散とみなされた日から3年内に限って継続の決議をすることができます(会473)。

会社が継続した場合は、解散時の取締役、代表取締役が当然に復活するものではないので、継続することを決議した株主総会において必ず新たに取締役、監査役(任期が満了している場合)を選任し、かつ、取締役設置会社の場合は取締役会において代表取締役を選任し、それ以外の会社について代表取締役を定める旨の定款の規定がある場合はその定める方法に従って代表取締役を定めなければなりません。

なお、解散中に他に同一商号・同一本店の会社の登記がなされた場合は、従前の商号のままで継続する登記は許されないので、商号または本店の変更も併せて株主総会で決議しなければならないことになります。

(2)継続の公示
定款で定めた存続期間の満了により解散事由の発生している会社が、解散の登記をする前に継続したときは、解散の登記及び清算人の登記をした後に継続の登記をすることになります。

解散の登記後に継続があったときは、本店所在地において2週間以内に、継続の登記を申請する必要があります(927)。

休眠会社の整理によってみなし解散会社となった会社が清算人の登記をしていない場合は、継続の登記の前提として、法定清算人就任の登記が必要です。


<清算結了>
清算結了とは、会社の法人格が消滅することで、人間に例えれば死亡に相当するものです。
すなわち、清算事務が終わったときには、清算人は、株主総会の承認を得て清算結了の登記をすることになります。